「札幌雪まつり」と言えば、やはり雪像ですよね。
このお祭りは、1950年の戦後を少しでも明るくしようと地元の中高生が6基の雪像を作ったことから始まりました。
その後も市民たちによって引き継がれ、 1955年には陸上自衛隊も加わりました。
現在では、200基近くの雪氷像が展示される大きなお祭りへと発展しています。
札幌雪まつりのメインとも言える大雪像の準備は、1月上旬ごろから始まります。
まず札幌市内やその近郊から5tトラック、6500台を使って会場に雪を運び込みます。
その雪は、手間を惜しまず純度の高い雪だけが集められます。
なぜなら、除雪した雪では融雪剤などの不純物が混ざっており、その雪で雪像を作ってしまうと溶けやすくなるからです。
その後、自衛隊員たちが雪像作りにとりかかります。
雪を運び入れ、基礎となる土台固めが始まります。
その後周囲をパネルで囲みながら、雪積みを行い、足場が追加されていきます。
雪積みの作業が終わるとパネルを外し、荒削りしながらの成形です。
足場に乗って作業を続け、細かいところまでこだわり、丁寧に削られていきます。
最後に足場を外し、全体的なバランスを見ながら修正と調整を行えば出来上がりです。
雪像作りには、クレーン車などの重機が活用され、大がかりな作業となっています。
自衛隊は、大雪像作りだけでなく雪の輸送にも協力しており、「自衛隊なくして札幌雪まつりは始まらない」と言っても言い過ぎではないかもしれません。
札幌雪まつりの会場に定められた雪像作りのルール
札幌雪まつりの雪像づくりは、もちろん一般市民も参加することができます。
その作った雪像は、札幌雪まつりのメイン会場とも言われる「大通会場」に展示されます。
一般市民が作る雪像は「市民雪像」と呼ばれ、制作には細かくルールが決められています。
<サイズ>
台座部分:幅・奥行3m 、高さ1m
雪像部分:幅・奥行・高さ2m
※雪像作りは、雪像部分のみとなります。
また、規格以上に雪を盛りつけすることは出来ません。
雪像の一部、例えば雪像の頭や手などが2mを越えて規格からはみ出すことは禁止されています。
<スケジュール>
11月:雪像作りを希望する人は、参加の申し込みを行う。
12月:制作グループ、制作場所を決定する抽選会の開催。
1月:「雪像プラン」を提出し、技術講習会に参加。
技術講習会の参加は、必須要件です。
粘土で制作した模型を基に雪像の安全性、芯材・補強材の必要性についてアドバイスがあります。
運営側の細やかな配慮のおかげで、安心安全で制作が行えそうですね。
このように雪像作りに参加する一人ひとりに安全意識を持ってもらい、さらにそれを管理することで、毎年事故なく開催に辿り着いていたのでした。
運営側の並々ならぬ努力の結果が、長く愛されるお祭りとなっていたのです。
肝心の制作活動は、札幌雪まつり開催前の5日間で行われています。
台座の上に雪像部分になる立方体が乗ったところから作業は開始です。
まずは、大まかに形を削り出していきます。
そのとき、削った雪の除雪作業も同時進行で行わなくてはなりません。
削った箇所に形を整えるための雪を貼り付け、一晩寝かせると貼り付けた雪が凍ってキレイな雪像となっていきます。
雪像作りの抽選は、例年倍率が高く権利を得たグループが全力で製作していらっしゃると聞きます。
市民雪像は、その数100基以上となり大雪像だけではなくこちらも見応えが十分にあるはずです。
さらに、市民雪像は人気投票を行っているのでお気に入りの雪像を探してみるのはいかがですか。
ちなみに得票数が多かった上位3グループには、 次回の市民雪像の参加資格と記念品が贈呈されます。
札幌雪まつりの雪像の種類
札幌雪まつりの雪像は、大まかに言って3種類です。
安定自立型雪像
<特徴>
雪像部分の下部に重心を置き、台座部分と雪像部分の接触部分が多いので、雪像が安定します。
初心者の方にオススメです。
自立型雪像
<特徴>
台座部分と雪像部分の接触部分が比較的面積が少ないのでデザイン性が高い雪像に適しています。
レリーフ型雪像
<特徴>
雪像の背面に壁をもうけて浮き彫りにし、台座と背面の2箇所で雪像を支えるので安定性が高くなります。
制作する雪像のテーマ、デザイン、安全性のバランスを考え、どのタイプの雪像にするか選択するようになります。
最後に
事故のない札幌雪まつりの開催には自衛隊、市民、運営関係者のみんなの努力で成り立っていました。
その努力の証として、長い歴史を持つお祭りに繋がっていったわけですね。
ちなみに札幌雪まつりは、雪像が並ぶ「大通会場」だけでなく、氷像が並ぶ「すすきの会場」、雪で遊べる「つどーむ会場」があります。
さらに、恒例となった屋台グルメも毎年盛況で、札幌雪まつりの人気のイベントにもなっているようです。
大通会場で雪像を楽しんだら、他の会場にも足を運んでみてはいかがですか。