最近の職場環境では、パワハラを含むハラスメントに対して厳しい目が向けられていますね。
そのために、上司が部下に理不尽な要求をし、できない場合に罵声を浴びせるといった昔ながらの光景は、以前より大幅に減っています。
しかし、その一方で、正当な職務上の指導を行ったつもりでも、部下や後輩が「パワハラだ」と訴えるケースが増えてきているようです。
正当な指導に過剰に反応する「被害妄想型社員」に、どのように対応したら円滑な職場環境になるのでしょうか?
パワハラの公的な定義って何だろう?
2012年3月に厚生労働省がまとめた『職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言』というものがあります。
その中に『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為』と示されています。
被害妄想社員はなぜ生まれるのか?
被害妄想型社員が増えた背景は、様々な要件があると云われています。
その中で、子供の時の環境が大きいのではと云われていますね。
子どもが悪いことをしたり、わがままをしたりしても注意しない親の増加や、学校などで道徳面の指導を受ける機会が少なくなったなどが挙げられています。
子どもの頃に注意や指導を受けないまま大人になり、社会人になった人は、自分中心に物事を考えたり行動したりすることが正しいと錯覚し、上司から仕事面での指摘や指導、叱責などを受けると『自分を否定された』と感じて、パワハラを受けたと思い込んでしまいます。
また、マスコミやネットなどでパワハラに関する記事が多くなったとこも原因の一つですね。
それにより『パワハラをするのはいけないことだ』という認識が広がり、逆に、パワハラではない事例でも『自分はパワハラを受けているのではないだろうか』という過剰な反応を示す人が多くなってしまいました。
正当に指導しているつもりなのに「パワハラだ!」と言われたらどうしたらいいのかな?
面倒であっても、会社(総務部などがいいのかもしれませんね)に『部下から指導方法について“パワハラ”だと言われた』ことを報告することがベストです。
会社に報告せずに、パワハラを訴えた部下と直接話し合いをすると、お互い感情的になりやすく、さらなるトラブルに進展する可能性があるので極力避けた方がいいですね。
会社側はパワハラの被害者や加害者、同じ職場で働く社員などに、それぞれ個別に面談やアンケートを行い、パワハラの有無を調査・確認することになります。
場合によっては、当事者同士が接触しないように、配置転換や席の移動をあり得るのではないかと思います。
しかし、中小企業などで配置転換などが難しい場合もあります。
その際は、会社側で状況をしっかり見極めていかないとならないですね。
パワハラと指導の違いって具体的にどのようなことなの?
指導とは、部下が仕事面で成長し、やる気を出させるように促すことですよね。
そのためには、まず仕事上において叱責や指導の必要性を明確に伝える事が重要です。
問題に対してはタイムリーにその場で指摘すること、欠点だけではなく長所にも気付きを与えること、指導後は適切なフォローを行うことが大切ですね。
それに対してパワハラは、部下の成長よりも上司の気持ちや都合が優先となってしまい、感情的な対応になってしまいます。
例えば、威嚇的、攻撃的、否定的な態度を取ったり、排除する、過去の失敗を何度も繰り返し追及したりして部下を委縮させ、仕事に対するやる気をなくすなどです。
性格や容姿など業務上必要がない内容を指摘することもパワハラとなってしまいます。
難しい点も多々ありますが、双方の努力が必要ですね。
さいごに
パワハラにしてもセクハラにしても、受け手の主観でハラスメントの有無が決まってしまうことが大きな問題と思えますね。
会社は、社員がハラスメントを訴えてきたときは、訴えられた側の話も公平に聞く必要性があります。
また年上との関係性のフラット化は必要になっているのでしょうね。
上司,部下の間で上下関係を意識していた世代と,上下関係無く対等だと考える世代との間の軋轢も今後の課題だと思います。