2017年初めて、猫の飼育頭数が犬を上回りました。
散歩をしなくていいから猫のほうが飼いやすいという人も多いようです。
しかし、保健所に引き取られるのは、実は犬よりも猫のほうが圧倒的に多いん
です。
ネットの動画では、可愛い猫の動画をよく目にしますが、現実は多くの猫が
保健所で殺処分をされています。
しかし、そうした猫の命を守る取り組みも最近では積極的に取り組まれているんです。
そこで、保健所で保護された猫を殺処分から守る取り組みを紹介したいと思います。
殺処分されるネコを一時保護する施設がある

まず、知っていてほしいことは、日本では、年間約3万匹の猫が殺処分されて
いるということです。
保護期間が短い保健所では収容から1週間で殺処分されることもあります。
さらに、乳飲み子や、ケガや病気をしている場合、即処分の保健所もあるんです。
2017年度、保健所に引き取られた猫の頭数は、飼い主からの持ち込みが11,061頭(成熟個体6,756頭、幼齢個体4,305頭)です。
たくさんの猫が飼われるようになった一方で、犬の倍以上の猫が保健所に
持ち込まれているんです。
特徴的なのは、幼齢個体の頭数が犬の約10倍ということです。
飼い主からの持ち込みということは、望まない妊娠によってできてしまった子猫が
犬の10倍以上もいるということです。
とても悲しいことですよね。猫のほうが飼いやすい、そう思う前に、ペットとして飼うなら避妊や去勢を適切に行う責任もあります。
保健所には、飼い主からの持ち込み以外に所有者不明の犬猫も引き取られます。
2017年度の引き取り頭数は、猫72,624頭です。
そのうち殺処分された猫は、45,574頭と約60%の猫が殺処分されました。
猫ブームとは別に、殺処分される猫の数も非常に多いということを忘れては
いけません。
このような現状の中、殺処分される猫を一時的に保護する施設があります。
NPO法人犬と猫のためのライフボートは、保健所などの行政機関で殺処分される
はずだった犬と猫を施設に一時保護し、里親さんを探す活動を行う団体です。
施設内には附属動物病院を持ち、施設の犬猫のための医療や保護犬猫専門の
外来診療を提供しています。
また譲渡が困難な犬猫たちは終生飼育することで殺処分からの救命を
実現しているんです。
現在までの殺処分から救命した数は、19,000頭を超えています。
今後、こうした取り組みがさらに増えることが殺処分を減らすためには必要と
いえるでしょう。
殺処分ゼロに向けた各自治体や団体の取り組み

殺処分を減らす取り組みは、各自治体や団体でも少しずつ広がってきています。
神奈川県は、2014年、2015年、2年連続で犬と猫の殺処分がゼロを達成しました。
さらに、猫の殺処分に関しては2014年から2年間0件です。
神奈川県の取り組みとして、正当な理由がない限り、引き取らないようにし、
また、ボランティア団体などの協力で保護センターから譲渡する出口を広げるのに
さらに、神奈川県動物保護センターは、還率を上げるために、動物たちの
”所有者明示”の普及に取り組んでます。
具体的には、犬や猫などにマイクロチップを埋め込み、所有者を明確にすることで、迷った動物たちを飼い主のもとに戻すということもしているんです。
また、神奈川県動物保護センターは、「動物を処分するための施設から生かす
ための施設へ」というコンセプトのもと、新しい保護施設の建設を予定しています。
新しい保護施設では、災害時には迷子動物や負傷動物の一時保護施設としても活用する計画になっています。
この新しい保護施設は、動物を処分するための施設ではなく生かすための施設として運営していくことを目指しています。
他にも、東京都千代田区では、2016年8月に東京都知事に就任した小池百合子氏が
「東京都での殺処分ゼロ」を掲げており、千代田区は「TNTA(Trap, Neuter, Tame, Adopt:一時保護/不妊・去勢手術/人に慣らす/譲渡する)」活動を民間団体と協力して推し進めています。
自治体以外の団体としては、株式会社シロップが行っている、保護犬猫と
飼いたい人をつなぐマッチングサービス「OMUSUBI(お結び)」を提供しています。
サービスを通して、個人に安心して納得のいくマッチングを提供したり、
保護団体が譲渡活動にかける手間を省くといった付加価値を提供することを目指し
ている団体です。
NPO法人 東京キャットガーディアンは、殺処分数の高い猫に焦点を当てた取り組み
を行っています。
賃貸マンションに猫がついてくる「猫付きマンション」や、キャットフードや
猫砂など日常のお買い物で保護活動に参加出来る仕組みの「ShippoTV」 の運営を
しています。
様々な活動を通じて「シェルターから伴侶動物をもらう」 選択肢の認知向上に努めている団体です。
まだまだ、取り組みを行う自治体や団体は少なく、取り組みへの認知度も低いですが、
少しずつでも、こうした取り組みを行う人が増えることを願います。
まとめ

可愛いからと何も考えず猫を飼い始めたり、可哀想だからと野良猫にエサをあげる
行為は、時として猫を殺処分へと追い込むことにつながります。
猫を飼う時は、猫の性格や生態についてよく知り、本当に猫の一生に責任を持てるのかどうか考えましょう。
そして、猫の保護に取り組む団体を知ったり、猫を選ぶ時には、ペットショップではなく、保護猫を譲渡してもらうなど、猫を守る取り組みを、始めてみてくださいね。