味覚障害はなぜ起こる?その意外な原因とは

病気

最近何を食べても味がしない。

おいしいものを食べても、まずく感じる。

もしかすると、味覚障害かもしれません。

そもそも味覚障害はなぜ起こるのでしょうか。

今回は、味覚障害が起こる原因をまとめてみました。

味覚だからといって、口ばかりが原因ではないんです。実は、神経の異常も

原因があるんです。

また、味覚障害と響きが似ている「味覚過敏」についても紹介したいと

思います。

味覚障害の原因は神経系の異常かも

そもそも“味”には「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」の4つがある

といわれてきましたが、最近これに「旨味」も加わり、味の基本が5つに

なりました。

これらの味は、まず舌にあります「味蕾」という味覚の受容器で

キャッチされます。

この「味蕾」は舌の上に約5000個、顎の奥や喉にも約2500個存在している

といわれています。

それぞれの味を感ずる「味蕾」には局在があり、甘味は舌の先、

苦味は舌の奥、酸味は舌の横というふうに感じやすい場所が決まっている

ようです。

そしてこの「味蕾」でキャッチされた味の刺激は、味覚を伝える

感覚神経を伝わって脳の中へ入ってゆくのですが、舌の前2/3はである

鼓索神経を、舌の後ろ1/3は舌咽神経を介します。

このうちの鼓索神経は顔面神経と合流するので、原因不明で末梢性の

顔面神経麻痺をきたすベル麻痺ではしばしば味覚障害を起こすことが

あります。

そしてまたこの鼓索神経には同時に涙腺や唾液腺に分布している

線維も含まれており、涙や唾の分泌にも関係があります。

これらの味覚を伝える神経は、脳幹、間脳という脳の奥深い所を

通って上行し、大脳の側頭葉にある味覚中枢まで刺激を伝えます。

味覚障害を起こす原因はいくつかあります。

1つが、亜鉛欠乏症です。

亜鉛が欠乏すると味覚が障害されます。この亜鉛欠乏による味覚障害は

味覚障害全体の約15%を占めており、単独の原因では1番多いものです。

亜鉛の1日に必要な摂取量は成人で15mgといわれています。

普通に食事をしていると亜鉛が体内で欠乏することは殆どないと

いわれています。

しかし、ダイエットなどによる極端な偏食、加工食品に含まれている

食品添加物(ソーセージやかまぼこなどのつなぎとなっているポリリン酸Na、

変色防止剤として漬け物や清酒に使われるフィチン酸など)や

薬剤(後で述べます)などにより亜鉛が細胞内に取り込まれにくく

なったりして起こります。

治療には亜鉛を含む薬剤を内服しますが、食べ物としては、

牡蠣(5個で約15mg)を筆頭にカニなどの魚介類、肉類、乳製品、豆類、

それに胡麻などに多く含まれています。

2つめの原因として、味覚の神経の伝導障害です。

これには鼓索神経の部分での障害としては顔面神経麻痺をきたす

疾患としてベル麻痺を始め、ヘルペスウイルスが原因のハント症候群、

口蓋扁桃摘出術や喉頭ポリープ摘出術などの術後、中耳炎や聴神経腫瘍など

があります。

また脳幹以降の味覚神経伝導路付近に起こった脳血管障害、外傷、脳腫瘍、

脳炎などでも障害はみられます。

その他、薬の副作用やがんの治療として、降圧薬や精神疾患薬、鎮痛・解熱薬、

抗アレルギー薬、消化性潰瘍治療薬など、多くの薬が味覚障害の原因となります。

また、がん化学療法を受けている人の3~5割に味覚障害があらわれ、吐き気や

食欲不振をともなう例が多くみられます。

頸部から頭部にかけてのがんで放射線治療を受けている人の場合は、

そのほとんどに味覚障害があらわれ、唾液の分泌の減少や口の中の痛みを

ともないます。

それからその他の疾患に合併する場合ですが、これには口腔内の乾燥を

引き起こす疾患や舌炎をきたす疾患があります。

口腔が乾燥する疾患としては、関節リウマチによく合併して唾液や

涙の分泌が低下するシェーグレン症候群を始め、糖尿病、腎不全、肝不全、

バセドウ病などがあります。

これに対して舌炎をきたす疾患としては、先ほどの各種薬剤による

副作用以外ではビタミン欠乏で起こる悪性貧血があります。

また妊娠中や更年期障害でもみられるといわれておりますが、さらに

忘れてならないのは、抑鬱や神経症など精神的な原因すなわち心因性のもの

も約10%にみられるということです。

舌の表面には、舌苔(ぜったい)という白い苔のようなものが薄くついています。

これは舌の細胞がはがれたものや食べ物のかす、細菌、白血球の残骸などが

堆積したものです。

舌苔(ぜったい)が、疲れたりストレスが強いとき、に厚くなったり、

色が変わることがあります。

舌苔が厚くなったり、色が変わると、舌の違和感や味覚障害があらわれます。

さらに、加齢とともに味を感じる感覚器の機能が低下することによる

味覚障害が増えています。

近年では60歳代から70歳代をピークに味覚障害を訴える人が増加し、

65歳以上のいわゆる高齢の患者さんが味覚障害の約半数近くをしめる

状態になっています。

味覚障害とちょっと違う?「味覚過敏」とは

味覚障害と混ざってしまいがちな「味覚過敏」ですが、実は二つは別物です。

「味覚過敏」は、発達障害者の一部の人が悩んでいる「感覚過敏」のひとつ

なんです。

「感覚過敏」は、本来であればその感覚を脳が生活に支障をきたさない

ようコントロールしているのが、うまくコントロールできない症状です。

一部の発達障害の人にはこの感覚過敏の傾向が見られます。

「感覚過敏」の中の「味覚過敏」は、独特な食感や舌触りの食べ物が苦手に

なります。

これは、ただの好き嫌いの激しいワガママな人や極端な偏食と勘違いされ

やすいのですが、その人にとって口の中に入れた際の食べ物の感覚が不快なのです。

ぬめっとした食感のきのこ類やシャキシャキした感覚の生野菜や果物、

チクチク感のある揚げ物、濃い味付けのもの(カレーやファーストフード、濃いお茶)などを受け付けない人が多いようです。

味覚過敏は、なかなか周囲の理解を得られず苦しんでいる人もいるかと思います。

特に子どもは栄養面でも偏ってしまうので心配ですよね。

そんなときはできるだけ食感が分からないよう細かく刻んで調理したり、

濃い味付けが苦手な子どもには薄味にしてあげましょう。

まとめ

味覚障害の原因は、「加齢」、味を感じる細胞の再生を促す「亜鉛」の不足、

口腔内が乾燥する「口腔疾患」、「神経の異常」、ストレスによる「心因性」など

様々あります。

また、「味覚過敏」は、なかなか周囲の理解を得ることが難しい症状です。

「味覚過敏」という症状があることを知っておくことが、理解への

第一歩として大切です。