着物の衿は右が手前でその上に左を重ねますが、これには男女の違いはありません。
浴衣を着るとき、悩まないようにと「右前」という単語で覚えるように教えてもらっていたりするはずでしょう。
しかし、ボタンのついた服になると男女に違いがあるのを知っていましたか。
ボタンは、男性の場合なら左側に、女性は右側についています。
普段、何気なくボタンを閉めたり、見たりしているため、違いがあることにすら気づいてない人もいるかもしれませんね。
今回は、男女によるボタンの違いについて考えていきましょう。
シャツのボタンのかけ方の男女による違い
シャツは、本来外国のものでありましたが、現在では日本でも当たり前のように着られています。
そんなシャツですが先にお話した通り、ボタンのかけ方は男女によって違いがあります。
この違いには、どのような理由が隠されているのでしょうか。
母親のため
利き手である右手を自由にし、左手で赤ちゃんを抱くためだったと言われています。
また、左側にボタンがあれば片手で取り外すことが出来るので簡単に授乳が出来るようになります。
赤ちゃんを育てるお母さんへの気遣いが感じられますね。
サイドサドルをするから
昔の女性は“淑女”であるべきと考えられており、馬に乗るときも跨がることはしませんでした。
女性が馬に乗るときは、足は左側に揃えて横座りをする上品な乗り方をしていたようです。
そのため、馬に乗ると右肩が正面に向く形になるので、シャツの中に風が入りやすくなってしまいます。
前方から受ける風を防ぐためだったとも言われています。
洋服のボタンのかけ方の男女による違い
シャツのボタンには理由がありましたが、
洋服のボタンにも男女による違いには理由があるのでしょうか。
そもそもボタンの誕生は、13世紀、もしくは14世紀頃のヨーロッパの宮廷からと言われています。
バックルやブローチがルーツであるボタンは、高級品であるためボタンのついた洋服は高級な服とされていました。
そのため、その時代にボタンのついた洋服を着ることが出来たのは上流階級の貴族になります。
当時から男性は自分で着替えを行っていましたが、女性は使用人に着替えさせていたようです。
使用人が「着替えさせやすいように」と配慮されたことで、左側にボタンをつけたと考えられます。
簡単に言えば「女性が人に服を着させてもらいやすくするため」であったと言う訳です。
ただ、このボタンの位置一つで使用人たちの手間が少しでも省かれていたのならば、大変意味のあることだったのでしょう。
次に、男性の洋服のボタンについてです。
男性は素早く武器を持ち使えるようにと、そのような理由からボタンは右側につけるようになったと言われています。
男性は敵に襲われたとき、すぐに武器を持たなければなりません。
そのため、懐にある武器を取り出しやすくしておく必要があったのです。
ボタンを右側つけると懐に手が入りやすかったと考えられます。
最後に
男女によるボタンの違いは諸説ありますが、昔からの名残が現在にまで残っていることは間違いありません。
着物では、男女によって違いがないので気づかないで洋服を着ている方もいらっしゃるでしょう。
ボタン一つでその理由は諸説ありました。
昔の人が何を考えてそのようにしたのか、その理由を考えると面白いですね。